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秋の東北 紅葉めぐりの旅投稿日 2013.10.15

旅行者
吉野りり花
旅行先
宮城岩手秋田青森
旅行期間
2012.11.28~2012.12.03
テーマ
写真1
  • 宮城県・鳴子温泉
  • 岩手県・花巻
  • 秋田県・角館
  • 青森県・奥入瀬渓流
  • 青森県・蔦沼
  • 朱色に染まる蔦沼

滝乃湯

夏から秋へ、季節が移り変わり、吹き来る風に冷たさを感じるようになったら「紅葉はまだだろうか」と心待ちにする。四季のある日本に暮らす我々ならではの感覚ですよね。今回は秋の東北で紅葉を追う旅をご紹介します。宮城県大崎町にある鳴子温泉は濃い硫黄泉が湧き出る昔ながらの温泉街。温泉街を歩くとあちこちに足湯処があり、濃い硫黄の香りが漂ってきます。硫黄の成分が濃いため、電化製品や車は数年で錆びてしまうそう。訪れた旅人にとっては温泉らしさを強烈に訴える硫黄の香りですが、地元の人は慣れてしまってあまり感じないんだそうです。乳白色でやわらかな硫黄泉を湧出する宿もたくさんあり、日帰り客向けには共同湯の「滝の湯」もあります。

こけし

街のあちこちには名産のこけしがいるのも可愛らしい。土産物店のシャッターにも、温泉の暖簾にも、ガードレールや橋の欄干にも。こけし達に出迎えられつつ、温泉街歩きを愉しむのもよい街です。最近は水道水がおいしいことでも一躍有名になったそう。

鳴子温泉駅や高台の温泉宿から見えるのは黄色く色づいた黄葉。このあたりの山にはブナが多く、カエデのように赤く色づくのとは一味違う、黄色く色づいた穏やかな黄葉を愉しむことができます。

お約束 盛岡冷麺

宮城県から東北新幹線で北上して岩手県まで移動したら、途中の盛岡ではお約束の盛岡冷麺を。駅前の盛桜閣の固めの麺の冷麺もよいし、定番のぴょんぴょん舎もよいですね。ぴょんぴょん舎では焼き網のない席もあるので、焼肉まではおなかに入らないけれど、冷麺だけ食べたいという女性にも気軽に入れるのが嬉しいです。盛岡からさらに北上すると宮沢賢治ゆかりの花巻や遠野物語がうまれた遠野など、文学作品ゆかりまちがあります。ゆたかな自然が残る遠野では昔ながらの農村の暮らしを間近に感じることができます。水車のまわるあぜ道や、おしらさま、金精さまなど遠野の伝承に登場する神様ゆかりの場所を訪ねるのも面白いです。

宮沢賢治記念館近くの紅葉

宮沢賢治ゆかりの花巻には大小8つの温泉が点在し花巻温泉郷と呼ばれています。ここも秋に訪れれば見事な紅葉を眺めることのできるエリア。色づいた木々の葉っぱがはらはらと風に舞うのを眺めながら温泉につかれば、時間がたつのも忘れてしまいます。宮沢賢治記念館には賢治ゆかりの品や自筆原稿が展示され、あの現実と幻とが混ざりあったような不思議な賢治作品の世界を思い起こさせてくれます。賢治記念館の近くからも紅葉を眺めることができました。

今度は仙北市に移動し、みちのくの小京都と名高い角館へ。角館は武家屋敷が立ち並ぶどっしりとした城下町です。きりっとした顔の質実剛健な武家屋敷は、それだけでも絵になりますが、春にはしだれ桜、秋には紅葉に彩られて、さらに美しくなります。漆黒の木塀に、舞い散るカエデ、赤く染まる路。これぞ、武家町の秋です。

秋田のおいしいものとえいばきりたんぽや比内地鶏がよく知られていますが、角館に来たら周辺の山々で採れる多様な山菜も忘れてはいけません。関東ではミヤマイラクサと呼ばれるアイコ、山のアスパラガスと称されるヒデコ、ミズの木の実であるミズの実など、一風変わった山菜を味わう秋らしい夕ご飯を頂きました。

秋田からは田沢湖のほとりを車で走ると、田沢湖畔の土産物屋ではきりたんぽを炭火で焼く光景も。囲炉裏のあたたかさ、ありがたさは寒い地方にいると、しみるように分かってきます。ここから車で移動して十和田湖の湖畔をとおり奥入瀬渓流へ。十和田湖畔は秋といっても底冷えのする寒さ。暖かい服装で奥入瀬渓流に向かいます。十和田湖の子ノ口からはじまる奥入瀬渓流には、変化に富む流れや奇岩が点在して、歩いていても飽きません。渓流沿いの見事な紅葉を眺めながら、錦秋の渓谷を散策します。

奥入瀬渓流からブナ林の中にある蔦温泉旅館へ。ここは南八甲田山の懐に抱かれた蔦の森にある静かな秘湯です。この近くにとっておきの紅葉スポット・蔦沼があるのです。蔦温泉旅館から遊歩道をしばらく歩いてたところにある蔦沼では、紅葉シーズンの早朝、朝日が昇るにつれて沼がだんだんと朱色に染まる美しい光景を見ることができます。これを見るために蔦温泉旅館に泊まります。

 

 

 

 

 

 

ふるくは湯治小屋であったという蔦温泉に入ると、感じるのは木のぬくもり、そして時を経てじっくりといぶされた木造建築の重厚感。廊下を歩くだけでも、木のぬくもりを贅沢に感じます。木造の湯小屋も昔から守られたもの。泉響の湯につかると、足元からこぽこぽと小さなあぶくがあがってきます。湯舟が源泉の真上にあるため、湯が足元から湧き出てきて散策で冷えた体が芯からあたたまるよう。あたたまったら早朝の蔦沼散歩にそなえて眠ります。

朝早く目覚めたら、歩きやすい服装で蔦沼へ。他の客室の方が眠っている朝5時頃、そっと玄関の引き戸をあけ、外へと出ました。蔦温泉旅館から蔦沼へは遊歩道が続いており、遊歩道沿いに瓢箪沼、菅沼、長沼、月沼、鏡沼、そして蔦沼が点在しています。この沼めぐりの道は全3キロ。この時間はまだ暗いため、沼めぐりの道ではなく蔦沼へ直行する遊歩道を歩きます。

まだ暗い遊歩道をザクッザクッと枯葉を踏みしめながら歩くと、ひんやりと冷たい空気が頬にあたります。黄色い落ち葉はブナでしょうか。やがて目の前に静かな沼があらわれました。蔦沼です。波もない穏やかな水面は鏡のよう。湖は山の樹々を映して静かに佇んでいます。湖のまわりには、三脚にカメラをセットして夜明けを待つ人が数人。誰かがしゃべることもなく、静寂の中でいまかいまかと日の出を待っています。

やがて水面がだんだんと赤みをおびはじめました。ゆっくりと日が昇るにつれ、蔦沼の湖面は山々の紅葉を映して、赤く染まっていきます。水に浮かぶ落ち葉の赤や黄色、山肌の朱色。それらを映して、朱色に染まる蔦沼はまるで万華鏡のよう。

山向こうに太陽がチラッと顔を出すと水面のさざ波がキラッと輝き、蔦沼のまわりからは「オォッ」という歓声が。日の出までの間、夜明けを待ち続けた連帯感もあいまって、沼のまわりでは皆一緒になって喜んでいるかのようです。

鳥のさえずりを聞き、朝の光をうけながら、森の中にいると気分も爽やか。赤や黄色のモザイク模様は夢のようで、いつまでも眺めていたくて湖畔に佇んでいました。

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