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2012年英国の旅(上)~教会と花園とタイタニック投稿日 2013.8.3

旅行者
若林朋子
旅行先
ゴダルミング
旅行期間
2012.07.29~2012.08.18
テーマ
28)DSC_0123 RHS Garden Wisley
  • 英国で3週間ホームスティ
  • 朝夕は寒く、クーラー不要
  • 庭園の美しさに圧倒される
  • さすが、ガーデニングの国!
  • 壁面から天井までに絵
  • 教会が語りかけてくる
  • 慰霊碑の前にポピー

私は2012年1月15日、18年と9カ月半勤めた会社を、退社しました。突然の決断でした。「さてこれからどうしようか・・・・・」目もくらむような自由を得て、「今、一番したいことって何だろう?」と考えました。そして、「五輪開催中の都市に滞在すること!」と、英国行きを思い立ちました。サラリーマン時代、長期の休暇を取ることは不可能だったからです。これまた、突然の決断でした。

早速、「五輪観戦ツアー」をネット検索してみたものの、五輪開催期間中、ロンドンのホテルの宿泊費は1泊5、6万円がザラ。「10日で50万円は痛いなあ・・・」と足がすくみました。そこで、考えたのがホームスティです。英国に滞在しながら英語を学ぶ「リビング・ラーニング・イングリッシュ」という語学研修の運営団体があることを知り、早速、申し込みました。

スティ中の1日の流れはこうです。元教員など、語学指導の経験がある人の家庭に滞在し、午前中はマンツーマンで授業を受け、午後は一緒に観光やショッピングを楽しみます。週末はフリーということですので、五輪観戦も実現できそうです。

しばらくして、ホームスティ先が決まったと連絡がありました。ロンドンからナショナル・トレインで1時間ほど北西に移動したGodalming(ゴダルミング)という町です。60代前半の女性が「先生」でありマザー。ご主人、就職が決まったばかりの次男と同居しておられました。

私は2012年7月下旬から8月半ばにかけてゴダルミングに滞在し、近くの観光地などにも足を伸ばしました。2012年夏の思い出は、「語学力のなさを痛感し、英国で右往左往。ホストファミリーの思いやりに感謝!」に尽きます。

しかし、数ある失敗談はさておき、ここからは、空や花、教会など、心に焼き付けた美しい風景についてお話しましょう。

 

シャツ数枚にハーフパンツ、タンクトップと真夏の服装しか持たずに来た私は、初日から後悔しました。真夏でも朝夕は結構寒いのです。考えてみれば事前に分かることでした。Godalmingは北緯およそ51度。モスクワとそう変わりません。滞在中、クーラーはまったく使いませんでした。

「買い物に行くけど、あなたは何屋さんに行きたい?」到着した日の翌日、先生から聞かれました。私はすかざす「服屋さん」と答えました。「私は夏服しか持たず、困っている。だから長袖の服が欲しい」言いたいけれど、英語がすぐに出てこず、身ぶるいする動作で意思表示しました。分かってもらえたようです。

日本でいえば「しまむら」のような洋品店で、私は手ごろなバラ色のフリースのパーカーを買いました。

「バラ」といえば、涼しいことが幸いしました。英国に滞在中、バラがずっと咲いていてくれたのです。バラだけではありません。たくさんの花がちょうど「見ごろ」でした。咲き乱れる花々は、見ていて飽きません。

 

 

 

私は英国に滞在中、日記を付けていました。英国で初めて足を踏み入れた庭園の印象をこんな風に書き残しています。

「なんて美しいのだろう。美しいもの、正しい人、そつなく、無理なく、むだなく、おごらず、いつくしみ、憐れみ、とにかくいろんなことがすべて端正で美しい。英国の奥行にしばし身を任せ、自分の垢や邪悪な心、怠惰な心をそぎ落とそう」美しさに圧倒されている心境を御理解いただけますでしょうか?

英国で最初に訪れたのがRHS Garden Wisleyという庭園です。その後、ロンドンのKew Gardenなど、いくつか著名な庭園に行きましたが、最も印象に残っているのがこのRHS Garden Wisley。どの花も満開でした。庭園内をくまなく歩き回っても、枯れたり、つぼみばかりだったりする場所がありません。よく手入れされていました。

 

 

日本庭園は石や池、時には借景も魅力ですが、英国の庭園は花の色を見せてくれるのです。色調や花の品種をそろえて、統一感を持たせたエリアもあれば、色とりどりの花が咲きそろった花壇もあります。

花の手入れをするスタッフが、至るところで作業をしていました。彼らの使う道具がまた面白いのです。よく使いこまれた柄の部分は微妙に中央がくぼんでいて、使い勝手がよさそう。道具はいずれもそんな感じです。「さすが、ガーデニングの国!」と思いました。

園内の一角にあるショップもなかなかです。花苗やちょっとした道具も販売していますが、ツーリストにとってうれしいのはポストカードや便せん、封筒など。お土産用にずいぶん買い求めました。

 

 

 

ホストファミリーの御夫婦は、悠々自適の毎日です。私を案内してくれる場所は、彼らが行きたい場所や、なじみ深いエリアです。というわけで、庭園や最寄りの美術館の企画展、日々の生活用品を買うマーケットなどに足を運ぶ日々でした。

教会にもしばしば足を運びました。教会通いは、生活の一部なのです。「教会に行くわよ」といわれて、「昨日行ったところ?」と聞くと、違っていたりします。目的によって、「なじみ」の教会はいろいろあるようでした。ほとんどの教会は墓地に囲まれていますが、暗い雰囲気はありません。墓石の横にシートを敷いて音楽鑑賞をしたことも。日曜礼拝やゴスペル教室、クリケットの練習場所の真横だったので、少年たちが水を飲みに来た時もありました。

私達が寺や神社に足を運ぶ頻度とは比べ物にならないくらい、英国人は教会に出向きます。コミュニケーションの拠点なのですね。

ゴダルミングの隣町、Guildford(ギルフォード)の一角に、Watts Cemetery Chapelという古い教会があります。一見の価値ありです。

外観は「ジャックと豆の木」に出てくる「豆の木」の茎のような模様がびっしり。日本の「らんま」のような立体的な造形で包まれています。建物はレンガ色ですから、華美な感じはしません。

 

 

 

でも、中に入ると一転、壁面から天井まで、豊かな色彩でさまざまな物語が描かれています。まるで曼荼羅ですね。

教会はMary Wattsという女性のデザインです。教会のモチーフは「tree of life」。「生命の木」と訳すのか、あるいは「人生の木」か。いずれも正しいのではないでしょうか。欧米人は木の枝が分かれて茂るさまを家系に例えたりしますよね。教会を包む木の模様は、そういう命のつながり、継承などの大切さを説いている気がします。

「命はどこからか来て、今はあなたの体に宿っており、誰かに託していかなければいけないのですよ。命を、人生を、大切にしなさいね」と。

「おや、あれは三つ巴?」ふと見ると、紋付きに染め抜かれる家紋と同じ模様が描かれていて驚きます。不思議ですね。三つ巴なんて、かなり洗練された東洋独自のデザインのように思いますけど。同じアイデアが洋の東西を越えて生み出されたのでしょうか?興味深いです。Watts Cemetery Chapelだけでなく、教会はいずれも美しく、個性的でした。

不思議ですね。どこへ行っても、教会に魂が宿っていて、語りかけてくる気がするのです。街中の豪華な教会は、皇帝のような威厳があります。小さな町はずれの教会は、地域住民の生活感が染み込んでいて、いとおしい。

不思議ですね。仏教徒なのに。英国の地方都市に行ったら、教会巡り、お勧めです。私のように、ホームスティしたりするのではない、ごく短期のツーリストでも、教会に入れば、その土地の人の感情に触れることができるでしょう。

 

 

さて、私が3週間滞在したゴダルミング、本当に小さな、落ち着いた町です。ホストファミリーは週末、ウオーキングやサイクリング、小さな商店街でのショッピングなどに連れ出してくれました。それほどお金をかけなくても楽しめる場が多く、心の豊かさを感じることができます。

 

 

 

 

 

 

この静かな町で生まれ、有名人になった人といえば、「タイタニック号」の船員として、沈没まで献身的に任務を遂行したJack Phillipsの故郷なのだそうです。郷土資料館(のような場所)には、ジャックの写真やタイタニック号の資料などが展示さてており、商店街を抜けた所に慰霊碑がありました。

英国では墓前に手向ける花はポピーです。慰霊碑、墓などには、ビニールで作られた赤と黒のポピーの花輪が飾られているのを見ました。Jack Phillipsの業績などについて書かれた石碑の前にもやはりポピー。石碑の前には池があり、何だかほっとする場になっています。町の人は皆、ここに来て町の英雄の遺功をしのぶのでしょう。

英国の田舎町ではよく、「round about」という交差点を通過しました。円形の植え込みを中心に三方から車が進入し、時計回りに回転して出ていく形状のものです。とてもよくできた仕組みだと思います。ドライバーは減速し、タイミングを図って120度または240度方向を変えます。信号機はありませんが、対向車がいないため、自分の前を走る車にさえ注意すれば衝突することはありません。

 

 

私にとって英国旅行は、この「round about」とよく似ていると思いました。「無理せず、少しだけ人生の方向性を変えることができたかな」と。

  • 英国で3週間ホームスティ
  • 朝夕は寒く、クーラー不要
  • 庭園の美しさに圧倒される
  • さすが、ガーデニングの国!
  • 壁面から天井までに絵
  • 教会が語りかけてくる
  • 慰霊碑の前にポピー